NPOりすシステム
代表理事 松島 如戒
1.当NPOは、葬送・生活支援に係る生前契約受託・施行事業を中心に、15年間に亘って活動している法人です。
2.当NPOは、Nさんという生前契約利用者から、ご自身の遺産の全てを、東北地方で森を守り育てる活動に尽力している団体又は個人を探して、寄付をしてほしいと、公正証書遺言によって依頼を受けました。
3.地球環境を守るためにも、森を守り育てることの重要性が求められている今日、当NPOとしては、Nさんの尊いご遺志をより確実なものとするため、法人事業として取組んでいます。
4.ご承知のように、遺言は遺言を書いた方の死亡によって、その法律上の効果が生じます。したがって、遺言が有効になった時点以降、遺言をされた背景や切なる思い等について、ご本人に尋ねる術がありませんので、公正証書に記められている一文字一文字を、幾たび否、何十回も読み返しながら、「真の思いを探りあてる」ことになります。
5.その結果、別紙募集要領により、遺言目的に忠実且つ有効に資金を使って下さる団体又は個人を探すことにしました。
6.探し方即ち募集方法について熟慮を重ねた結果、一般公募という結論に至りました。もしかして、予想以上に多数の応募があった際の取り扱いをどのようにすれば良いかなど、不安材料もありましたが、「機会の公平性」を重視し、この結論に達しました。
7.当NPOとして一般公募をするに際し、選定基準等が必要との意見もありましたが、この財産は一旦、当NPOが寄付を受けたものですから、当NPOとして善良な管理者の注意義務を厳格に遵守し、寄付先及び金額を決定することにしました。
8.具体的な基準等は設けませんが、次の点に配慮して選定させていただきます。
①過去の実績より、今回の寄付金で「どんな事業をするのか」「その実現性を何によってアピールできるか」を重要視する。
②「森を守り育てる」の意味を広義に解釈して、啓蒙、人づくり、子ども達への森づくりに係るメッセージ性、森と人のくらしに係る事業、樹木医の養成事業等々に、積極的に配分する。
③一粒蒔いた種子が、将来に向けて広がりをもったり、大きく育つ可能性が実感できる事業を重視する。
④法人格がない、実績がない等の理由で、公的な財政支援が得られないような市井の人々の取組みにも配分する。
⑤結果の成否よりも、成果や経過についてのレポートを、決められた日時に必ず提出していただけると確信のもてる団体の代表者や個人を重視する。
9.近年、法定相続人不在、つまり法律上当然に遺産を相続する権利を持つ人が存在しない人々が増加しています。これらの人々の財産は、遺言がなければ国に属することになります。多くの人は、今回のNさんのように遺言を書いて自分の財産について、自分自身の思いを死後実現できる道を模索するのですが、迷っている間に時間切れになることも多いのが現実です。
10.遺言により法定相続人以外の人に財産を遺贈する公正証書遺言を書くには、遺贈を受ける人の身分を証明する戸籍や住民票が必要となります。証明書の取得が、個人情報保護法などにより非常に難しくなってきている現状から、Nさんのように、財産を一旦、どこかの法人又は個人、今回はNPOりすシステムに遺贈(寄付)をして、遺贈を受けた者が遺言者の意に沿って、最終目的のために寄付をするという遺言の仕方は、今後有効な方法として普及することが望ましいと考えています。
11.このような趣旨からも、今回の寄付金配分事業は、今後のモデルとなりますので、当NPOとして予算を使って、この事業の成功に全力を尽くしています。
12.遺言の解釈は厳格で、今回のように「りすシステムが寄付先を探して寄付をしてほしい」とだけ書いてあれば、「探すために必要な費用はりすシステム」の負担ということになります。もちろん、遺言は法律的には単独行為といって、一方通行ですから、遺言による負担が大きい場合は、断ることも出来ます。断る場合は、りすシステムが財産の遺贈を受けることを断りますので、その部分の遺言はなかったことになり、法定相続人が居れば法定相続人に、誰も居なければ国に、その財産が属することになります。したがって、りすシステムとしては、断ることは極めて困難になります。
13.今回は、新しい事業への挑戦と将来のモデル作りと位置づけて、多くの予算を使って丁寧に取り扱っているのですが、今後、このようなケースの遺贈が増えれば、断るか、ほどほどにせざるを得なくなりますので、「寄付先を探したり配分に必要な費用は、遺産から支出してほしい」旨の遺言をしていただくよう、PRをしたいと考えています。
14.遺言の趣旨に沿うような活動をしておられる多数の方のご協力を得て、Nさんの貴重な財産が、Nさんの遺志を全うできるような方々の手に届き、一粒の種子が大きく広がり育つことを肝に銘じ、このプロジェクトを推進してまいる所存です。